■前年に日活で『怪談昇り竜』を撮っていた石井輝男が参加したのが異色だし、久松静児なんかが登板するのも、日活系の人脈ですね。中川信夫とか石川義寛は、制作会社がどこであろうと、もうこのジャンルには欠かせない人。東映の佐伯孚治も、なんだか完全にジャンル系の働き手です。
■『怪談夕霧楼』とか『釘を打つ女』などのオリジナル作が意外にもなかなかの力作で、忘れられるには惜しい作品ですね。関西地方ではあまり再放送していないから、馴染みがないのかな。
#4 「妖怪血染めの櫛」
#5「髑髏妻の怪」
■宇野信夫の歌舞伎『髑髏妻』を翻案したもので、ドラマ的にはちょっとおもしろいけど、怪談としては消化不良。博打の借金のかたに置いてきた女房が入水して死に、やくざの親分に埋葬を頼まれた首吊り女の死体が落雷で復活!でもよくみると死んだ女房に生き写し、というお話はかなり奇抜で面白くなりそうなのだが、その後の展開に曲がない。脚本は下飯坂菊馬、監督は佐伯孚治。弓恵子の幽霊は、薄幸そうに見えないから、あまり映えないね。www.youtube.com