これオリジナルなの?まるで古典落語みたいな佳作!怪奇十三夜「釘を打つ女」#11

■脚本:犬塚稔、監督:山田達雄ロートルコンビでおくる小気味いい悪党怪談。撮影:古室好一、照明:高橋勇、美術:福留八郎です。

■大店のボンクラ息子(ささきいさお)は借金を片付けるために植木職人(長谷川明男)と図って、狂言で死ぬことにし、葬儀をあげるが、植木職人は裏切って、ボンクラ息子を生き埋めにして見殺しにする。だが、親方(富田仲次郎)は計略を見抜いていて植木職人を強請る。ところが、ボンクラ息子は自分で棺桶を抜け出していた。親方の元にも現れるが、親方は女房(二本柳俊恵)を寝取っていて、逆に殺されてしまう。そんなこととも知らない植木職人は、ボンクラ息子はまだ生きていると信じて。。。

■二転三転する機転の効いた脚本で、なかなか快調。小悪党たちの騙し合いが、恐怖と嬌笑を誘う、よくできた芝居のようだ。まるで古典落語の名作のような筋立てだけど、どうもオリジナルらしい。これ忘れられるのは惜しい出し物なので、誰か怪談落語に仕立て直せばいいのに。あるいは、芝居にでもすればいいのになあ。

■小悪党たちの中心にいて、男たちに簡単に身を任せてしまう、ボンクラ息子の女房が二本柳俊恵という女優で、男にすがるしか生き方を知らない哀れな女の姿をある意味リアルに演じるし、妙にキレイですね。結局、このひとが主役のようにも見える。なんで女は釘を打つのか?男たちのいじましい欲望に翻弄されて狂ってゆく、その結末も救いがなくて、陰々として良い。

■しかも、長屋の住人たちが、中村是好笠置シズ子大泉滉という、謎に豪華な配役で、顔ぶれだけで楽しいよね。そして、小悪党といえば長谷川明男、長谷川明男といえば小悪党。安心感のある配役ですね。


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