四谷怪談
■監督:貞永方久(助監督:都築一興) 原作:下飯坂菊馬、杉江慧子 脚本:下飯坂菊馬、杉江慧子 撮影:藤原三郎 照明:釜田幸一 美術:川村鬼世志
■南北の四谷怪談から離れた自由な構築で、廻る輪廻の回転運動のイメージで統一した貞永方久のシュールな演出が印象的な力作で、尖った場面がいくつかある。お岩さんの驚愕シーンでは、鏡部屋効果を狙ったり(お岩さんが百人?)、子供(孫?)連れの瞽女の姿を挿入したり。幽霊の現場合成(ハーフミラー?)も緻密。見事な霧雨の降り方は京都映画名物で、完全に必殺テイスト。ラストの長廻しの俯瞰撮影もさすが。
■戸板返しの演出も、水中から飛び出す戸板の勢いがまるでロケットのようでビックリするし、激しく回転して、そのスピード感が斬新。最終的に伊右衛門は流れてきた大八車の下敷きで溺死する。お岩たちの死骸を運んだ大八車だろうけど、珍しい演出。しかも、津軽三味線演奏は山田五十鈴だ。