菅よ、死者の声を聞け…横浜にカジノはいらない!『ハマのドン』

基本情報

ハマのドン ★★★☆
2023 ヴィスタサイズ 100分 @京都シネマ(SC2)
製作:江口英明、雪竹弘一 監督:松原文枝
hama-don.jp

感想

■久しぶりに、何年かぶりで京都シネマに出かけましたが、いまだにカード決済が使えないなんて。。。今どきちょっとありえないよ。残念です。個人事業主だって対応する時代なのに。

■さて。政府の政策に沿って横浜に計画されたカジノ誘致計画に対して、山下ふ頭に博打場を作るのは俺は許さない、ハマで働いて死んでいった者たちがそう言っている!と反旗を翻した「ハマのドン」こと藤木幸夫の言動を追ったドキュメンタリー。テレビ朝日で放映されたものを再編集して映画化したもので、かなり見ごたえのあるドキュメンタリー。

■菅政権が強硬に推し進めるIR推進計画だが、藤木幸夫は全人生を賭けて反対する。港湾労働者たちが血と汗を流してきたハマで博打をするのか?もちろん昔はみんな丁半博打をしたけど、それは娯楽が何もなかった時代のこと。それもやくざが介入してきて、搾取が始まったけど、俺の父ちゃんはやくざの介入を許さなかった。ということで、「ハマのドン」というタイトルから想像するブラックな裏社会は基本的に脇役で、田岡一雄との交流も登場するけど、やくざをやめろと言ったんだけどねという話になる。どこまでが本当かは、もちろん知りませんよ。「ハマのドン」って、港湾荷役の元締めならやくざに決まってるでしょという予断を裏切る。

■映画としては非常に面白くできていて、中盤から藤木幸夫の半生を振り返る構成。もちろん、ここからが面白い見どころで、死んでいった者たちの声がそう言っているんだとカジノ計画に強硬に反対する姿はさすがに迫力があるし、説得力がある。そもそもカジノでの外国人の儲けに課税してガッポガッポというのが財務省の思惑だったのに、アメリカの圧力でそれも骨抜きにされ、地元に落ちる税収も大幅な下ブレリスクがあり、話が違うよということに。2021年の横浜市長選では菅総理が送り込んだ手駒の候補者さえあんな結果になるし、IR推進派の前市長は中央政府から何の断りもなく完全にはしごを外されて、残念なことに(ホントに気の毒な感じ)。このあたりの政治残酷物語はまるでフィクションのように面白い。

■IR推進の背景にはアメリカのカジノ業者が控えていて、もちろん日本の国益なんて考えてないので、税収も増えないし、ギャンブル依存症は生じるし、期待したほどの経済的利益は上がりませんよ、美味しいところは全部アメリカの業者が吸い上げるからね、という構図なんだけど、あれ?大阪ではやるんだよね?大阪凄いね!ま、大阪のあのあたりはもともと海だし、男たちの血と汗が結晶した歴史がないから、誰も文句言わないわけですね。いいのか、それで?というお話です。

■あと蛇足ですけど、映画の作り方として人間を映すという作法なのはわかるけど、金額の動きとかについては役人のポンチ絵資料を映すだけではなくて、ちゃんときれいなグラフィカルな映像表現を使ってほしいところ。いまどき素人のyoutubeだってもっとおしゃれな動きのあるポンチ絵を使ってますからね!ほんまに。
www.youtube.com

参考



京都シネマで最近こんな映画を観ましたよ。最近でもないか。
maricozy.hatenablog.jp
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港湾労働者を舐めるなよ!という映画はたくさんあります。映画史において港湾労働者はおおきな役割を占めています。港湾労働者映画というジャンルがあるような気もしますね。
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