絶頂期の中平康は確かに凄かった!心理サスペンスの珠玉作『密会』

基本情報

密会 ★★★☆
1959 スコープサイズ(モノクロ) 71分 @アマプラ
企画:大塚和 原作:吉村昭 脚本:中平康 撮影:山崎善弘 照明:森年男 美術:松山崇 音楽:黛敏郎 監督:中平康

感想

■年の離れた大学教授(宮口精二)の妻(桂木洋子)は、夫の教え子の大学生(伊藤孝雄)と不倫関係にあった。だがある夜、密会中にタクシー強盗殺人を目撃してしまう。犯人は不明のまま、不倫がバレるのを恐れて証言を言い出せない二人は重い十字架に縛られる。。。

■という心理サスペンスで、吉村昭の短編小説らしいピンポイントにテーマを絞った作劇。脚本も中平康が自分で書き、いかにも小品らしいシャープな心理サスペンス映画として成功している。

■冒頭の世田谷の高級住宅地にある熊野神社裏の密会場面がねっとりとした長廻しで、いかにも日活映画らしい仕上がり。後の日活映画の作家たちの伝統的手法に継承されたかもしれない。実に7分くらいのワンカットの愛欲場面で、桂木洋子と伊藤孝雄がリアルに好演。伊藤孝雄の演技的な硬さと角張った顔つきが自然と役に生きているし、桂木洋子の息遣いの同時録音のエロさも秀逸。この場面はどう考えても日活ロマンポルノに至る日活映画の愛欲場面の演出に影響を与え続けていると思う。(本作の助監督は西村昭五郎だしね)

■容疑者不明のまま、運転手の遺族に対するインタビュー番組を観たりして、深刻に憔悴して思いつめてゆく伊藤孝雄には、画学校に通う活発な妹(峯品子)がいて、このはつらつとした描き方との対比が実に傑出して冴えている。一方、桂木洋子の側には無遠慮ながさつな家政婦がいて、これが近所の野良犬の残酷な交通事故死の模様などを大げさに報告して、彼女を無自覚に心理的に追い詰める。このグロテスクな轢死イメージがちゃんとラストの事故に呼応しているのも当然とは言えさすがの構築力。

■最終的に、熱愛していた二人の愛が本物なのかどうかが試されるという構成になっていて、終幕のサスペンスの切れ味は日本映画離れした名シーン。駅のホームのあのカット割りは明らかにヒッチコックを意識しているだろうし、ラストシーンの簡潔さと冷徹なリアリズムも凄い切れ味。傑作!

参考

こちらも中平康のサスペンス映画の傑作。やっぱりこの時期、絶好調ですね。
maricozy.hatenablog.jp

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