ガッパだけじゃないよ!美樹克彦のモーレツ・エレキ歌謡の世界

■最近は60年代後半のエレキ歌謡、GS歌謡、ひとりGSといったポップでサイケでダンサブルな歌謡曲ばかり聞いて、60年代後半の混沌とした高揚感のなかにダイブしているところですが、そのきっかけとなったのは、これです。『大巨獣ガッパ』を観たことですね。そして、その主題歌の破壊力に改めて撃たれたのです。
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■そして、その主題歌を熱唱するのが美樹克彦という人で、1960年代後半のアイドル歌謡の人。当時十代だったので男性アイドルとして登場したのですね。66年の「回転禁止の青春さ」もなんとなく聞き知っていますが、なんといっても有名なのは67年の大ヒット曲「花はおそかった」で、その次のシングル曲が67年の「大巨獣ガッパ」なので、大人気の渦中の起用だったわけですね。

■正直、「花はおそかった」は曲想が暗いのでいまいち突き抜けた感動はなかったのですが、youtubeでその他の楽曲を掘っていくと、これが実にいい歌が多いのです。しかも、異世界に突き抜けた過激で突飛な歌詞が、誰も真似できない独特の世界観を構築しています。

■こちらで代表曲を網羅することができます。クラクラ来ますよ、いい意味で。突き抜ける歌の巧さはアイドル歌唱の域を完全にはみ出しています!「俺の涙は俺がふく」の男気(粋がり?)、「6番のロック」の奇想、「行こうぜ東京」の集団就職ムードが最高です。「恋の台風第一号」は美樹克彦のキテレツ歌謡の極北ではないでしょうか。作詞はほぼ星野哲郎ですが、やっぱ天才なんですね。色んな意味で!

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■これらの楽曲に比べるとマイナーですが、67年の「恋の挑戦状」はイキった青年の自我が異常心理の世界に突入した名曲です。サイケじゃなくてサイコです。なんと大ヒット曲「花はおそかった」のB面だったようです。作詞は中山大三郎という人。騙されたと思って聞いてみて!「恋も名誉もTPOも」というくだりだけで非凡さはわかりますが、三番のオチには爆笑必至。そんなのアリか?

■レコード会社を日本クラウンからキャニオンに移籍後の71年の「太陽のかけら」も傑作です。阿久悠&川口真のコンビで、曲想がさすがに洗練されてます。時代も70年代に入ってますからね。「今はしあわせ、明日はどうでも」という歌詞が胸に刺さります。60年代後半のキテレツ奇想歌謡ムードから正統派の青春歌謡にモードチェンジした感じですが、とにかく歌が巧いので聴き応えがあります。

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■現在では日本クラウン時代の代表曲が、以下のようなCDとして入手可能ですが、これだけの孤高の歌世界はなかなか生み出せないし、空前絶後だと思うので、本気で再評価を希望します!

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