いかにも古臭い母ものメロドラマ。でも、みんな芦川いづみに首ったけ!『しあわせはどこに』

基本情報

しあわせはどこに ★★☆
1956 スタンダードサイズ 80分 @アマプラ
企画:児井英生 原作:小糸のぶ 脚本:池田一朗西河克己 撮影:横山実 照明:吉田協佐 美術:坂口武玄 音楽:池田雅之 特殊撮影:日活特殊技術部 監督:西河克己

感想

■両親がないことで就職に苦労するし、居候している親戚のおじさんには迫られるし、苦労が耐えない淳子。おばさんが交通事故で死の間際に、母親が生きていることを知らされる。。。

■端的に言って非常に古臭いお話で、職人的によくできてはいるけど、ホントにご都合主義のお決まりどおりなので、結構脱力する。死んだはずの母親が生きていて、という母ものメロドラマでもあるが、クライマックスはなぜか活劇になってしまうというごった煮ぶり。でも、トレンディドラマ全盛時代のテレビドラマも、最終回直前に刃物が登場して唐突に流血沙汰が起こるのが定番だったから、最後に活劇要素を入れて主人公たちを無理やり引き立てるというのは、昔から流行ドラマの基本なんですな。

芦川いづみに何度も迫るエロ親父が殿山泰司で、悪い泰司の好見本。でも、最後にギャング映画みたいになるのは誰目線ですかね。

■本作の見所は色悪として登場する宍戸錠のキャラクターでしょう。まだ両頬に詰め物を入れる前なので、ひょろっとした二枚目であった頃、西河克己の演出も端正で、欲望を隠し持つ、内心凶暴なアプレゲールな若者を宍戸は好演する。脚本的にもかなり入念に性格が描かれており、結構な大役。この映画の性格俳優ぶりはきっと所内でも注目されたでしょうね。

■しあわせは~どこに~と要所で歌い上げる主題歌はコロンビアローズですよ。このあたりの脱力感も、なんとも珍味ですね。
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