おら、ハードボイルドだど!長谷部安春の華麗なる趣味の活劇『みな殺しの拳銃』

みな殺しの拳銃

みな殺しの拳銃

  • メディア: Prime Video

基本情報

みな殺しの拳銃 ★★★
1967 スコープサイズ(モノクロ) 89分 @アマプラ
企画:浅田健三 脚本:中西隆三、藤井鷹史 撮影:永塚一栄 照明:三尾三郎 美術:木村威夫 音楽:山本直純 監督:長谷部安春

感想

■企画の浅田健三って、忘れられた傑作シリーズ『賭場の牝猫』の製作者で、脚本も書く器用な人。本作は、浅田健三の渋い活劇志向と長谷部安春のハードボイルド趣味、アメリカかぶれが地味に結実した、趣味性の高いハードボイルド活劇となった。脚本の中西隆三長谷部安春の同期で気の合う仲間なので、仲間同士でわちゃわちゃ言いながら、俺たちの好きなハードボイルド映画を作ろうぜ!と部活のノリで書いたに違いない。(妄想です)

■基本的にハリウッドのB級ハードボイルド活劇を目指したもので、そのことはモノクロ映像のルックでもはっきりわかる。通常の日活映画のモノクロ撮影は、かなり中間トーンのグレー主体で、大映東宝のようなコントラストの強い映像ではないのだが、本作のモノクロ撮影は、大映東宝寄りで、かなりノワールな黒みの多いルック。ハリウッド映画がそうなので、当然といえば、当然。定番ではあるが、モノクロ撮影の妙味はグレートーンの階調の広さにあると思うので、勿体ない気もする。

宍戸錠は赤沢興行の大幹部だが、会長のやり方に嫌気が差して組を抜け、血の気の多い兄弟たちと一緒に赤沢組の縄張りを切り崩すと、赤沢興行のド汚い仕返しが始まり、兄弟が狙われると、旧友の二谷英明との宿命の対決が避けられなくなる。。。というよくあるお話。

■脚本が中西隆三なので、お話は非常にシンプルで、典型的。大和屋竺みたいに、そこに微妙な違和感やニュアンスを盛り込むような操作はしていない。むしろ、永原秀一が書けばよかった気がする。でも、監督はとにかくノリノリで、嬉しそうにとにかくキメキメな画を繰り出してくる。そこに熱いジャズナンバーをぶつけて、日本映画離れした世界観を手繰り寄せようとする。宍戸錠二谷英明の間で二人の関係を修復しようとする女を沢たまきに演じさせたのも監督の意向だろう。いわゆる女性的なものではなく、中性的でドライなルックを狙ったようだ。これはユニークで成功している。

■低予算映画のはずだが、美術は木村威夫で、兄弟の経営するナイトクラブのセットは一点豪華主義で相当気合の入った大掛かりな構築。既に経営的には左前の日活だが、意外なことに結構末期までそれなりの質感を保つのだ。

■ラストの当時工事中だった東名高速を使ったガンアクションはさすがに見どころで、長谷部安春がもう喜々として念入りに撮る。中島貞夫の『893愚連隊』が脳裏にあったことだろう。
www.nikkatsu.com


参考

なんとサントラ版が出てますよ。確かにジャズナンバーが大充実なんですが、驚きです。

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かつて日本映画には、長谷部安春の、いわゆる「バタ臭い」アクション映画路線がありました。その後は、テレビ映画を主戦場に大量に撮っているので、全貌が把握し難い。
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これが『賭場の牝猫』シリーズです。とにかく野川由美子の美しさに惚れ惚れする流麗なモノクロ映画。
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