山間の僻村で集団赤痢パニック発生?暮らしの中に根を張る勤労映画!『明日は咲こう花咲こう』

明日は咲こう花咲こう

明日は咲こう花咲こう

  • メディア: Prime Video

基本情報

明日は咲こう花咲こう ★★★☆
1965 スコープサイズ 88分 @アマゾンプライム
企画:横山弥太郎 原作:由紀しげ子 脚本:宮内婦貴子山田信夫 撮影:姫田眞左久 照明:藤林甲 美術:千葉和彦 音楽:伊部晴美 監督:江崎実生

感想

■DVDは発売されていないけど、アマゾン・プライム・ビデオで綺麗なリマスター版が観られる本作、撮影が姫田眞佐久だったり、主題歌が改めて聞いてみると、なかなか趣深い歌詞だったりと、興味深く観ることができた。吉永小百合の主演作としても、上出来の部類のはず。
■理想に燃えて山間の僻村・姫虎村に保健婦として赴任したひろ子だが、村は村長派と助役派に分かれて対立し、おまけに怪しい新興宗教の教祖まで絡んで利権闘争の真っ最中。村人は頑迷で衛生観念も無いし、駐在する医師は全くやる気がない。教祖はひろ子を追い出すためにバースコントロールの講演を強要するが、会場はセクハラムード全開で異様な雰囲気に。。。
■60年代中盤までの日活映画は意外にも庶民や勤労者の生活に割とリアルに寄り添った青春映画が多く作られている。ということは、つい最近知ったことで、ちょっと意外の感があったのだが、本作もそうした路線の一作。東宝の現代劇はプチブル層の家庭劇になりがちだし、松竹の庶民劇は年齢層が高くなる印象で、年齢層が下がるといきなりヌーベル・バーグで極端に先鋭化してしまうので、20歳前後の働く若者たちのリアルなドラマがたくさん描かれたのは、日活映画くらいということになる。東映大映も基本は時代劇だから、リアルな現代劇は例外となり、大映には現代劇の大きな路線があるが、文芸物とかサラリーマンものという印象だし、メイン監督が増村保造だったりするので、あまりにもエキセントリックな観念劇になりがちで、間違っても等身大のヴィヴィッドな若者映画ではなかった。そこに日活映画の純愛路線や派生する青春映画路線が入り込むチャンスがあったわけだ。ズバリ、都市や地方の勤労青年がメインターゲットだったはずだ。(そういう意味では、『若者たち』シリーズって、日活映画で(あるいは民藝制作の日活映画として)製作されるべき映画だった気がするんだけどね。)
■村人たちの描写はかなり類型的で田舎の人が観たら田舎者をバカにするなと怒るのも無理はないお話だし、三田明は本人として登場するというウルトラCの強引な作劇も凄いご都合主義だが、それでもかなり良い映画なので驚く。村人から激しい反発を食らって、何度も挫けそうになりながら、最後には村民の信頼を勝ち取るという典型的なストーリーラインだが、とにかく吉永小百合の見せ場を上手く作り上げることに傾注して、アイドル映画としても成功している。勤労アイドル映画とでも呼ぼうか。
■終盤は集団赤痢が発生するパニック映画と化し、それでも村の対面から大腸カタルだと言いはる村の執行部の方針に対して、面従腹背の策で、実際は赤痢の治療を行うというしたたかな戦略で、結果的に村民から感謝されるという、主人公の職業人としての成長をちゃんと描いた勤労映画になっているのだ。吉永小百合の演技力に頼るよりも、スタッフ総出の工夫で面白く見せてやるという意気込みが漲っている。江崎実生の演出も快調だし、今回は当然カラー撮影だけど、姫田眞佐久のキャメラは、やはり良いね!高村倉太郎や横山実ではこんな撮り方にはならないよね。
■ちなみに中尾彬って、民藝の出身かと思っていたのだが、日活ニューフェースだったのね。若い頃の彬はホントに爽やかでカッコいいのよ。吉永小百合ともよく一緒に出ているが、本作はかなり大きな重要な役柄だし、恋愛映画としても成功している。
■主題歌は全国民が知っている有名歌謡曲だが、吉田正のこの歌詞はホントに含蓄があって良いなあ。まあ、含蓄どころか平易な歌詞そのままなんだけど、ホントに明日を生きる勇気が湧いてくる名曲。この映画でも冒頭とラストに対応するように配置されているが、姫田キャメラマンの機動的なロケ撮影が新鮮で見事なラストは名シーンだと思う。コロナの時代にも、明日を信じてみようという気になってくるから。
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