メロドラマなのかサスペンスなのか?最後まで煮え切らない『終着駅』

基本情報

Stazione Termini ★★☆
1953 スタンダード 89分 @APV

感想

■大プロデューサーのセルズニックが『逢びき』の大ヒットに感化されて、うちでもあんな映画が作りたいとイタリアを舞台に撮りあげたメロドラマの古典。監督は映画の教科書には必ず登場する『自転車泥棒』のデ・シーカ。この後に撮った『ひまわり』は今となっては観る人も少ないが、なんといっても浜村淳の映画語りで関西人はみんな観たような気になっている超有名作。

■さて、本作は実はかなり変な映画で、ローマで観光旅行中に不倫関係になった男と別れてアメリカに帰国しようとする人妻がローマ中央駅で追ってきた男とつかず離れずのドラマを繰り広げ、劇中の時間と映画の時間がシンクロするという意欲作ではある。しかし、端的に言ってメロドラマなのかサスペンスなのかどっちつかずに終わって、とても『逢びき』のような強靭なメロドラマにはなっていない。

■主演のジェニファー・ジョーンズは揺れ続ける女心を演じる難役をこなしているし、相手役のモンゴメリー・クリフトだって悪くはないのだが、ドラマの焦点がぶれまくる。しまいには唐突に警察沙汰になり、警察署長の大岡裁きでドラマが急展開するという、冗談のような作劇。何がしたかったのか...

■ローマ中央駅の大規模ロケ撮影(だよね?)は見ものだが、やけに強烈なライトで照らすので、なんだかSF映画の巨大セットみたいだし、夜の野外の場面なのに、朝焼けのような空の情景が映しだされるので、時制が混乱しそうになるし、凝っているのはわかるものの適切な画づくりなのかどうかも疑問。名作のはずなんだけど、とてもそんな完成度ではないと思うぞ。

参考

こちらは正真正銘の不倫メロドラマの傑作中の傑作『逢びき』です。誰が観ても、嫌でも感動します。黙って観るしかないでしょう。
maricozy.hatenablog.jp