わが社の缶詰工場は大丈夫か?サラリーマン映画と怪獣映画の謎の融合『ゴジラの逆襲』

基本情報

ゴジラの逆襲 ★★☆
1955 スタンダードサイズ 82分 @APV

■『ゴジラの逆襲』のHDリマスター版を観たよ。何が凄いといって、大阪のナイトシーンがかなり明るく焼かれていて、全てが鮮明に見渡せる。これがデジタルリマスターの威力か。
ゴジラの逆襲

ゴジラの逆襲

  • 発売日: 2014/04/23
  • メディア: Prime Video

■それにしてもユニークなのは、第二作にして完全にゴジラは台風と同等に扱われていて、ゴジラが滅びるか、人類が滅びるかという悲壮感は既に皆無。進撃コースが逸れれば大丈夫という市民感情が定着している。ゴジラだけでなくアンギラスまで復活しているのに、誰もまるで脅威に感じてないし。怪獣によって世界観が一変するという深刻さが既に存在しない。ゴジラとの共存が既に市民生活に織り込まれている。いくらなんでも、環境変化に順応しすぎじゃないか、日本人。いや、さすが日本人というべきか。
■物語は大阪本社の漁業会社の飛行士がゴジラに偶然遭遇し、大阪で缶詰工場が被害を受け、北海道支社に主力を移すと、こんどは北方の孤島にゴジラを発見し、戦時中の航空隊の同志たちとゴジラ撃滅に向かうというもので、基本的にサラリーマン映画として構成されているのがユニーク。
■クライマックスが主人公たちが馴染みの料亭で二つの宴会を梯子する場面というのも凄いよね。鄙びた市井描写の連続は、全くゴジラ映画には見えない。もと航空隊の勇士で今は防衛隊員(自衛隊員)の面々とともにゴジラ対策に出撃するのも料亭での宴会からの流れというのも類例がなく、逆にリアルなのかもしれないなあ。
■本編美術もまだジャンル映画のコツが飲み込めてない感じだし、円谷特撮も妙に身軽で、あまりこだわりが感じられない。一作目のような深刻劇は陰気だから、もっとカラッと明るい怪獣映画をという興行側の意向に迎合したのだろうが、たぶん田中友幸じしん、これは違う、こんなはずではなかったと感じたことだろう。


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