恋は雨上がりのように ★★★

恋は雨上がりのように
2018 スコープサイズ 111分
Tジョイ京都
原作■眉月じゅん 脚本■坂口理子
撮影■市橋織江 美術■杉本亮
照明■粼本拓哉 音楽■伊藤ゴロー
VFXスーパーバイザー■神田剛志
監督■永井聡

小松菜奈って、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』で見ていたのだけど、正直、まったくタイプではないし、演技的に良いとも思わなかったので、なんで最近引っ張りだこなのか理解できなかった。でも、この映画を観ると、まったく見違えるように生き生きしているし、確かに物凄いオーラを発していて、一発でやられた。小松菜奈の完璧なアイドル映画。その意味で、永井聡、非常に上手い。小松菜奈の色んな表情であり、モデルらしい長身のスタイルを生かしたランニングの姿であり、もうアイドル映画のお手本のような、小松菜奈見本市状態。走る姿をもっと長く見せてほしいと感じるが、監督としては敢えてそう感じさせる程度に編集しているのだろう。その意味で、編集もうまい。

■実際のところ、お話は終わっていなくて、主要な登場人物が出そろったところで、終わりという印象。続編ありきの企画のように感じるが、ヒットすれば作ってくれるのかなあ。女子高生と中年男の、もう少し生臭いお話かと思いきや、清く正しい東宝映画の枠組みに見事にとどまってみせる。二人の間には性的な関係は何も生じない。たぶん、年配の脚本家などから人間が描かれていないとバカにされる典型的なパターンだし、もう少し二人が抜き差しならない関係に突入する様を見てみたい気はする。『放課後』とか『早春物語』とか往年の青春映画≒アイドル映画を想い出すことしきり。

■ヒロインの幼馴染の友達を清野菜名が演じて、なかなかの演技をみせる。どう見ても、ヒロインに同性愛的な感情を抱いているのだが、小松菜奈の長身に対して平均的な日本人体型のコントラストがそれだけで饒舌にいろいろと物語る。このあたりの関係ももっと突っ込んで描写されるのかと思ったのだが。

短距離走でのライバルとなる京都からの転校生の登場で物語は急速に加速して、もりあがってくるのだが、このエピソードも決着がつかないので、え、そこで終わりというのが正直な感想。ほんと、続編あるんだよね?

■製作は東宝小学館博報堂DYミュージック&ピクチャーズほか、制作は東宝映画、AOI Pro.。

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