THE UNFAIR
2015 ヴィスタサイズ 126分
DVD
■再開発立退き反対闘争の鎮圧作戦で生じた少年と警官の死の真相をめぐって、国選弁護人が様々な妨害に怯みながらも検事を追い詰めてゆくという、実際にあった龍山惨事事件に取材した小説を映画化した韓国映画。興味深い映画だし、丁寧に描かれた映画ではあるが、事件の構造自体が少々わかりにくいし、話術的にも少し苦しい気がするなあ。
■事件の背景の人間的リアリティに肉薄するのかと思いきや、そこは簡単な説明だけなので、激しい闘争場面の真意がピンとこないし、闘争現場の警官と撤去作業員の違いなども大分話が進まないと理解できないし、撤去作業員はもともと再開発地区の貧民が雇いあげられて、住民同士が争うような分断構図になっているらしいのだが、そこも分かりにくい。実際の鎮圧事件に関する知識が必須と思われる。
■お話は三流弁護士の反骨精神に焦点が置かれ、原告側のいけ好かない検事を悪役とする構図に集約されてゆくのだが、舞台となったスラム街(?)に生きる人間たちのリアリティが不十分なので、どうもピンとこない部分が多いのだな。この辺りは原作小説を読めば腑に落ちるのだろうが。