ニューヨーク・ニューヨーク ★★

New York, New York
1977 ヴィスタサイズ 163分
DVD

■これは昔々にテレビで観たねえ。野沢那智の吹き替え版だったはず。中学生か高校生の頃なので、面白いとは思わなかったけど、なぜか記憶に残るのはライザ・ミネリのファニーフェイスゆえか。改めてノーカット版を観たけど、これはかなりの異色作。スコセッシはどこを目指したのか、なかなかの混乱ぶり。デ・ニーロはこの頃お得意のキレ芸で笑わせにかかってるのではないか。どこでキレるかわくわくさせる変な芸風。デ・ニーロはむしろ後年のでっぷりした貫禄芝居の方が良いよね。
■ライザ・ミネリの歌唱は文句なしに見せるのだが、綺麗なミュージカルとして演出しているわけでもなく、彼女とデ・ニーロの心理的な小突きあいがドラマの中心。往年のハリウッドスタイルを目指したようにも見えるスコセッシの意匠も、正直思い通りに撮りきれていないのではないか。舞台装置も妙にこじんまりとしているし、ラズロ・コヴァックスの撮影も決してスマートではない。豪華絢爛という作風ではなく、妙に所帯じみているし、そりゃ『ラ・ラ・ランド』のほうが楽しいよね。