ソロモンの偽証 ★★★☆

ソロモンの偽証
2015 スコープサイズ 121+146分
DVD
原作■宮部みゆき 脚本■真辺克彦
撮影■藤澤順一、向後光徳 照明■金沢正夫
美術■西村貴志 音楽■安川午朗
VFXプロデューサー■浅野秀二
監督■成島出

■前編・事件と後篇・裁判を一気に鑑賞。原作も評判が良かったし、さすがに魅力的なアイディアで、読みたい気になる物語だが、なんとメインキャストをオーディションによる映画化という大胆な企画である。しかも、4時間半という日本映画では珍しい大長編映画。かなり画期的な企画である。松竹のやる気に驚かされる。

■しかも、前半こそ色々と気になる謎エピソードが散見されるものの、後半に入るともう一気呵成に中学生による学校内裁判に集約してゆく。フィンチャー映画の後に観るといかにも感情過多の日本映画なのだが、ちゃんとメリハリが効いているし、バランス感も悪くない。とにかく主役の藤野涼子という逸材を発見できたことで成功が約束された。

■ミステリーとしてよりも、学校内裁判というあまりに魅力的な道具立てが演出的に、演技的にちゃんと成功していることに感嘆する。しかも、彼ら彼女らは半分素人なのだ。成島出の演技指導の賜物だろうが、それにしても凄い。中学生による学校内裁判の生硬さをリアルな演技で見せつつ、裁判劇の面白さにも挑んでいる。

■裁判終幕のまとめ方はいかにも大雑把で類型的だと思うし、前半の社会派的な構図は成功していないが、立派な青春映画になっていることに感じ入った。80年代アイドル映画、青春映画を髣髴させる成島出の演出は圧巻といっていい。どうしたって『台風クラブ』なんかを思い出さずにいられないわけでね。

© 1998-2024 まり☆こうじ