Anastasia
1956 スコープサイズ 105分
DVD
■ロシア帝国のアナスタシア皇女をでっち上げて一攫千金を狙う元ロシア将軍の陰謀と、虚実皮膜の間で愛をはぐくんでいく謎の女との関係をスリリングに描いた舞台劇の映画化で、いかにも舞台劇らしい雰囲気を残した映画。シネマスコープ方式ながら色彩はテクニカラーではなくデラックス(イーストマンカラー?)。なので発色が渋い、というか地味。
■ユル・ブリンナーがイングリッド・バーグマンを皇女アナスタシアの偽者として仕込んでゆくうちに愛情を抱いてゆき・・・というお話で、金目当てかと思われた動機が意外に純真なものであったりして、非常に綺麗な幕切れを迎えることになる。後半の中心人物となるのが皇太后で、これでもかと貫禄芝居を見せる。これをヘレン・ヘイズというブロードウェイ出身の女優が演じて、完全に見せ場を攫ってしまう。まあ、イングリッド・バーグマンの大柄ながさつさが際立ってしまい、完全に食われている。
■当然、彼女が本当のアナスタシアだったのかどうかは明確にしていない。「幕は下りた。家へお帰り。」の皇太后の名台詞はもちろん素晴らしいのだが、正直メロドラマとしては喰い足りない。