インターステラー ★★★☆

Interstellar
2014 スコープサイズ 169分
イオンシネマ京都桂川(SC12)

「インターステラー」オリジナル・サウンドトラック
■わりとこじんまりとしたスクリーンで、2D字幕版を鑑賞。確かにIMAXとかで観ると違う感慨も沸くだろうが、基本的に非常に小さなお話なので、小さめのスクリーンでじっくり観るのも悪くない。これぞまさに宇宙SFという大風呂敷を広げるのだが、それをスペクタクルとして描くことはせずに、常に地に足の着いたスケール間で壮大な物語を物語るというスタイルを選択している。緩慢な滅亡の危機に瀕した地球を救う為、ワームホールの向こうの銀河に移住地を求めて旅に出た親父と地球に残された娘の葛藤を軸に、重力とはなにか、愛の観測可能性は、といった観念的なモチーフが宗教的な寓話と化して現出する。その構想の気宇壮大さと、お話の意外なほどの”小ささ”に眩暈をおぼえる。

ジョディー・フォスターの『コンタクト』も似たような話だったのであまり新味は無いが、お話のひねり方が正攻法に構成されているので、非常に感心した。『コンタクト』の方がむしろVFXを見せ場としたスペクタクル要素が豊富で非常に見ごたえもあったのだが、本作はとにかくリアル志向で、宇宙船を見せるにしてもモニター映像のようなアングルから見せるパターンが多く、あまり楽しくは無い。こういうところはノーラン節ということか。

■緩慢な滅びの道を歩み始めた人類という設定がアポロの月面着陸をネタに冒頭でうまく表現され、人類は宇宙に旅立つ宿命を負っているというホントに小松左京の小説のような展開になんだか懐かしさを感じる。父親よりも早く老いてゆく娘という時間テーマのメロドラマの展開も娯楽映画として成功しているし、ワームホールブラックホールをリアル(?)に描き出した意欲的な取り組みも評価されるべきだろう。ただ、ノーラン監督の癖で変に生真面目で、こうしたジャンルのお楽しみである面白みや稚気に欠けるきらいがあるのは残念でもある。

■しかし、約3時間の間たっぷりと堂々たるSF映画を見せてもらった有難味は素直に感謝しなければ。いやあ、面白かったですよ。マット・デーモンまで出てくるのには吃驚したけど。


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