ハムレット ★★★☆

Hamlet
1996 スコープサイズ 242分
DVD

ハムレット [Blu-ray]
■なんと4時間を超える超大作で、しかも70ミリ撮影という破格の映画。ケネス・ブラナーシェイクスピアの原作台詞を全部生かして、ただし時代背景を19世紀に移して作り上げた労作。なにしろ台詞が多くて、皆さんしゃべりっぱなしなおで、観ていて疲れるのだが、ケネス・ブラナー演出らしいケレン味で、ちゃんとメリハリは効いているから退屈はしないし、ここぞという見せ場はちゃんと盛り上げる。最後なんて串刺しはあるわ、『オペラ座の怪人』か!という派手な趣向まであって、とにかくサービス満点。そのサービスの方向性が当方の趣味志向と妙に合致するからケネス・ブラナーの通俗趣味、万歳。

■70ミリ撮影といっても、デビッド・リーンみたいな使い方ではないので、正直なところオーバースペックだと思うし、豪華な配役も明らかに別撮りのカットを繋いでいたり、しかもそれがあまり上手でなかったり、映画監督としての腕には疑問もあるが、それでも面白すぎるから気にならない。

ケネス・ブラナーが自信満々に演じて実際演じきるのは当然として、オフィーリア役のケイト・ウィンスレットが凄い。典型的な体当たりの熱演というやつだが、これぞ女優根性という大芝居を見せる。舞台を19世紀に設定したことで、狂人に拘束衣を纏わせることができるというあたりのケネス・ブラナーの狙いの残酷さは、やはり通俗趣味に通じるだろう。オフィーリアに放尿させる演出プランもあったというから、ケネス・ブラナーには何故か東映映画のDNAが組み込まれているに違いない。(続く)

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