それいけ!アンパンマン だだんだんとふたごの星 ★★★

それいけ!アンパンマン だだんだんとふたごの星 [DVD]
それいけ!アンパンマン だだんだんとふたごの星
2009 ヴィスタサイズ 50分
DVD
原作■やなせたかし 脚本■藤田伸三
音楽■いずみたく近藤浩章 キャラクターデザイン・作画監督■前田実
監督■川越淳

■これねえ、粗筋を書こうと思っても書けないのね。それほど掴みどころの無い話で、ふたごの星の妖精の別離と再会の話と、だだんだんがスーパーだだんだんに変身して心を持つという話がさっぱりかみ合わない。クライマックスはスーパーだだんだんが自らの意思でデビルスターに特攻するというロボットアクションになるのだが、だだんだんが何故に心を持つのかがさっぱり理解できない。
■そうした脚本上の混乱に輪をかけて足を引っ張っているのが、バラエティタレントが声優として演じたキラリとキララのアフレコ。ただでさえ、行動原理とか劇中での目標が見えないキャラなのに、さらに棒読みの恐怖が加わる。実質的な主役がこれでは全くお話が持たない。
■ただ、これアンパンマンか?というくらいによく動く動画の楽しさは特筆もので、全編にアクションシーンが設定され、特に巨大ロボの描写には力が入る。スーパーだだんだんの巨大感なども入念な描写で、アニメ、特撮好きには堪らんものがあるが、個々のカットは冴えていても、シーンとして盛り上がらないのは、脚本の不備のせいだなあ。非常に勿体無い。
■あとね、爆発シーンなんかで、土煙が画面の横から入ってきて場面全体を覆い、次のカットでは煙つながりでカットが寄っていたりするような、カットをとにかく滑らかに繋ごうとする演出が多くて、一見するとカットがスムーズに流れていくから、何か上手なように見えないこともないのだが、これを多用すると本当にシーン全体としてメリハリが無くなって、滑らかだけどだらだらした印象になってしまう。カット間のアクションの省略によるカット同士のぶつかり感を恐れたら映画は死ぬよ。

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