ラストスタンド ★★★

THE LAST STAND
2013 スコープサイズ 107分
DVD

■シュワの本格的映画復帰作だが、意外にもあっさり、何気ない感じでスクリーンに登場するのに驚いた。もっとこれ見よがしな祝祭的な演出で鳴り物入りで登場するのかと思いきや、昨日まで別の映画撮影してましたくらいの気軽な登場ぶりが素敵だ。お話自体は単純で、いかにもアメリカ精神満載な西部劇だが、監督が韓国映画界の鬼才で大変なテクニシャンであるキム・ジウンなので、ちょっと変な按配な映画になっている。

■変な按配を主に担当するのは、麻薬王にして元スピードレーサーという無茶な設定のエドゥアルド・ノリエガ。色っぽいスペイン系のいかにもオス的な役者だが、シュワとの対比の中で、暴走する若者を老いた責任感の強い男が制止するという構図を作り上げている。猛スピードでまるで飛行機のように疾走する悪者を、シュワが一体どんな手で押しとどめるのかがお話の肝だが、正直あまりトリッキーなアイディアは無く、80年代筋肉アクション風味の力押し。ラストはアメリカ映画のお約束どおりに男同士の殴り合いだ。

フォレスト・ウィテカーの部分はいろいろと今日的なアクション演出を繰り出すものの正直退屈で、シュワ氏の田舎町の描写の方が楽しい。ただ、ラストの橋の場面はいただけない。いかにもCG合成感が丸見えの、閉塞感溢れる奥行きの無い空間での殴りあいは観ていてキツイ。ハリウッド映画なんだから、橋の一本くらい実際に架けて、ちゃんとロケで撮ってくれよと言いたい。

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