コズモポリス ★★

COSMOPOLIS
2013 ヴィスタサイズ 110分
Tジョイ京都(SC12)

Cosmopolis/コズモポリス
■これは困った映画やねえ。全く予備知識なしで、クローネンバーグの最新作が何故かTジョイでかかっているから、きっとアクション映画的なもんだろうと見込み発車で観てきたのだが、なんと全く真逆の映画。ドン・デリーロの有名小説の映画化で、どちらかといえば文芸映画なのだ。しかし、もっと映画的に脚色すればいいものを、相当原作寄りに作ったらしく、なんとも退屈な映画になってしまった。クローネンバーグなのに!
■近未来、中国元の暴落で一瞬にして大富豪から凋落した若者が豪華リムジンで床屋に行くため(!)に街をゆるゆるとクルーズする様を、会話劇中心で構成した変なお話で、どんな映画にも似ていない。正直いって、主題が古いのが致命的で、今更そんなホリエモンみたいな話を蒸し返しても、今に対する批評性は薄く、切実さが感じられない。今やってる『相棒 X DAY』の方がよほど批評的だろう。(観てないけど!)
■ビジュアル的には近未来SF的な部分があって面白いし、特に歩くほどの速度で巡航するリムジンの官能的な感覚とか、新妻役のサラ・ガドンのなにやら一筋縄ではいかない美貌と憂いの表情はそそるものがある。

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