マージン・コール ★★★

Margin Call
2011 ヴィスタサイズ 107分
DVD

マージン・コール [DVD]
世界金融危機の引き金となった投資銀行の破綻、その兆候を発見した証券マンたちはその運命の夜、いかに振舞ったか、という社会人にとっては非常に興味深いお話を、熱くでは無く、クールに物語った低予算の独立系映画。とはいえ、役者陣は大物を揃え、十分に演技を競わせている。

■そもそもこの素材ならもっと熱っぽいハリウッド映画にもなるはずだと思うが、そうできないところに現在のハリウッド映画界の不振の一端が見て取れる。オリバー・ストーンが大作映画化したって不思議ではない話だ。

■会社の破綻どころか世界恐慌を起こしかねないサブプライム・ローンの破綻を予知したとき、責任者たちはどうやって保身に走ったのか、彼らの間でどんな議論が戦わされたのか、熱くなりそうなネタは豊富にあるはずだが、監督、脚本のJ・C・チャンダーはあくまでクールに描きとおす。個人的には橋本忍くらい熱く濃く描いてほしいところではあるが、それはまた別の話。

■はぜ橋本忍が出てくるかといえば、この映画は『日本沈没』に似ているから。日本沈没を予知してしまったとき、田所博士たちはどう振舞ったか?そこに人間の本性が現れる。ケヴィン・スペイシーがこの映画でどう振舞ったか、その惨めさは捻ったラストシーンによく表れている。


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