御用金 ★★

御用金
1969 スコープサイズ 123分
日本映画専門CH
脚本■田坂啓五社英雄
撮影■岡崎宏三 照明■榊原庸介、上島忠宜
美術■小島基司 音楽■佐藤勝
監督■五社英雄

■妙に大作仕様にしてあるが、お話は薄く、やはらと冗長な時代劇。五社英雄の悪い面ばかりが目に付く結果に。テレビの時代劇スペシャルくらいが丁度いい程度のぺらぺらなお話で、肝心のチャンバラにも面白みがなく、いいところが見当たらない。

■もともと錦之介の役は三船敏郎でインしていたが、ロケ先で仲代と酒の上で喧嘩して降板したという、大人気ない舞台裏からも、企画自体がどうも胡散臭いものだったことが伺える。パナビジョンを導入した意味では大作だが、お話のスケールもセットも、あまり大作感が無いというところが昭和44年の東宝。製作はフジテレビと東京映画だが。

■東京映画なので時代劇らしさもイマイチで、ゲスト出演といった風情の浅丘ルリ子の綺麗さは岡崎宏三の撮影の賜物か。照明は結構ベタベタに明るく、映像表現的にも見所は少ない。

■クライマックスの御用船のシーンは一応東宝特撮で、撮影には中野昭慶も立ち会っていたはず。撮影は岡崎宏三が担当したらしいが。サスペンスも無いし、スペクタクルでもなく、全てが肩透かしのような映画。テレビ局製作の日本映画の悪弊はこのときすでにすべて出尽くしているじゃないか。

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