ここに泉あり ★★★☆

ここに泉あり
1955 スタンダードサイズ 148分
DVD
脚本■水木洋子
撮影■中尾俊一郎 照明■若月荒夫
美術■川島泰造 音楽■團伊玖磨
監督■今井正

■戦後の混乱期に地方都市にクラシック音楽を定着させようと奮闘する人々の姿を今井正&中尾俊一郎ならではの詩情たっぷりに描いた名作。でも、オリジナル版ではなく、30分程度のカット版。全長版を観てみたい!

小林桂樹は独特の軽さで飄々と演じれば、岡田英次は堂々と二枚目を演じ、岸惠子はまるでアイドル並みにキュート。移動演奏会で女の子に花束を貰って嬉しさのあまり歌いだす場面の幸福さ。日本映画の一番幸福な時代ならではの高揚感だ。

■中盤でハンセン病の隔離施設を訪問する場面も胸に迫るのだが、ハンセン病者を画一的、類型的に描いている憾みが無くも無い。さらに、山奥の分教場に演奏に行けば、小林桂樹が、あの子達は一生山奥で樵や炭焼きで暮らすんだと感傷に浸る場面があり、これも見ようによっては差別的、というか傲慢。樵や炭焼きの何が悪いか。彼らはかわいそうな野蛮人なのか?こうした視線に代々木系の上から教え諭す傲慢さが見え隠れする気がするのだが、穿ち過ぎだろうか。

■でも、音楽映画としても秀逸なので、やっぱり名作ですよ。山田耕筰が本人役で登場して、経済的に困窮して解散したと思った楽団の練習に飛び入りして思わずタクトを振ってしまうという場面など、音楽映画としては名場面だ。

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