戦火の馬 ★★★★☆

WAR HORSE
2012 スコープサイズ 146分
Tジョイ京都(SC11)

戦火の馬 オリジナル・サウンドトラック
第一次世界大戦に軍馬として徴用された一等の美馬の目を通して、戦争に翻弄される人間の命運を描き、戦争の愚かさ、残酷さを描き出す児童小説およびその舞台の映画化。天才スピルバーグの異彩を遺憾なく発揮した古典的な傑作。本作ではCGの使用は控え、ロケーションでの実景撮影に力点が置かれたそうで、VFXもおなじみのILMではない。
スピルバーグの映画にしては脚本がバランスよく、古典的に出来ており、この点がもっとも特筆に価するだろう。スピルバーグの演出の筆致は古典的ハリウッド映画の作法を基本にしながら、最新撮影機材を投入して、流麗にして豪胆。特に、戦闘描写は、直接的な残酷描写を省略しながらも、省略の効用を最大限に発揮する。奇襲攻撃が思わぬ反撃にあう場面や、ドイツ兵の兄弟のエピソードなど、鮮烈に胸に迫る。
ヤヌス・カミンスキーがお馴染みの銀残しとディフュージョンを利かせた独特のルックではなく、ナチュラルな照明と色調でたっぷりと時代色を出し、ラストシーンでは「風と共に去りぬ」もかくやという劇的かつ幻想的な画作りを示し、映画史に残る名シーンとしている。このシーンは、ほんとに涙腺決壊必至!近年のスピルバーグ映画は、ラストを綺麗に締めてくれないので不満が多かったのだが、本作はその意味で完璧。
■いわゆる典型的なよく出来た”反戦映画”なので、全小学生に鑑賞を義務付けるべきだと思うぞ。