恋はデジャ・ブ ★★★☆

GROUNDHOG DAY
1993 ヴィスタサイズ 101分
BS-TBS

恋はデジャ・ブ [DVD]
■一部で有名なタイムループSFコメディだが、初めて観た。これは確かに傑作だ。でも、もっと傑作になったかもしれないと思わせる残念な部分もある。小説ではよくあるシチュエーションだが、「ミッション:8ミニッツ」も非常に面白かったので、このジャンルは映画向きなのかもしれない。
■自己中心的な男が同じ一日を無限に繰り返すうち、死のうとしたり、片思いの女を何とか口説き落とそうとして失敗を重ねたりするうち、自分の閉じ込められた街の住人たちのことを知るようになり、彼らのために手を貸す利他的な行為に、終わりなき日常を生きる生き甲斐を感じ始める。主人公ビル・マーレイは、昨日と同じ今日を怠惰に生きるループからなかなか抜け出せない私たちの姿そのものだ。
■お話は非常に倫理的な教訓話で、昔ならフランク・キャプラが撮りそうな映画だが、実際、非常に洗練された語り口で小気味良くお話が進む快感だけで値打ちがある。近年の下品なアメリカンコメディとはまったく志向が異なる。ヒューマニズム・コメディ、ソフィスティケイテッド・コメディ路線なのだ。そして、それに成功しているから凄い。
■欲を言えば、泣かせる見せ場をもう一押し作っておけば完璧だった気はするが、湿っぽくしない趣味のよさを評価するべきなのだろう。

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