ぼくのエリ 200歳の少女 ★★★★

LAT DEN RATTE KOMMA IN
2008 スコープサイズ 115分
DVD

ぼくのエリ 200歳の少女 [DVD]
マット・リーヴスのリメイク版である「モールス」を先に観たのだが、そのときに、オリジナルがこれ以上の完成度ということは想像しにくいと書いた。しかし、オリジナル版は、確かにリメイク版を超えている部分がある。

■リメイク版の大きな改変は、吸血少女の保護者の男の事故から始める時制の工夫で、これはいかにもハリウッド的な事情によるものだろうが、案外うまくいっていた。オリジナル版は時間経過どおりに進行するので、中盤の山場である保護者の男が病院で死ぬ場面も、案外あっさりと描かれる。何しろ、監督のトーマス・アルフレッドソンという人、省略の名手であり、普通ならVFXでバシバシ見せるところをあっさりと音だけで表現したりするかと思えば、猫の襲撃はCG(だよね)でしっかりと描くという捻くれ者だ。

■主人公の少年の将来の成れの果てが、あの保護者の男であるという含みを、オリジナル版ではあまり強調していない。(原作小説では、もともとロリコンの変態親父という設定だったらしい。)リメイク版では、そこを念入りに描くために、時制を倒置して、保護者の男の事故から物語を始めたおかげで、12歳の少年と初老の謎の男の人生が一つながりに見えるという感動的な効果を生んだ。これはマット・リーヴスの非凡なところだ。

■しかし、マット・リーヴスのVFX使いよりも、オリジナルの静謐な残酷描写のほうが、秀逸なのは確かだ。ラストのプールの場面など、実に凄い。

■ピアノとギターによる静かな楽曲が絶妙で、音楽のヨハン・セーデルクヴィストは、スザンネ・ビアの映画を担当している人でした。リメイク版はいかにもホラーという音楽で、それはそれで暗くて良かったのだが、雰囲気がまったく異なる。

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