ミッドナイト・ミート・トレイン ★★★

THE MIDNIGHT MEAT TRAIN
2008 スコープサイズ 100分
DVD

ビッグマウスゆえ、なかなか日本では受け入れられないキャラクターである北村龍平がハリウッドで撮ったスラッシャー映画だが、日本ではビデオスルー。その理由は観ればわかると思うよ。

■しかし、これがなかなか面白いのだ。単なるスラッシャーではなく、スーパーナチュラルな存在が最後の最後に登場する呼吸も悪くないし、そこには敢えて深く突っ込まず、あっさりと切り上げる切り口も、なかなかやるじゃないか。色々あっても、ラストは男同士のどつきあい、というアメリカ映画の定番も踏襲して、北村龍平の志向は、日本よりハリウッドにマッチしていることがよくわかる。ジョナサン・セラという撮影監督のクールな映像表現も低予算にしては秀逸だし、案外見所は多い。

■ゴアシーンの表現にこれでもかとケレン味を織り込んだのも功績のひとつ。特に、テッド・ライミの殺され方は圧巻といえるだろう。飛び散る血潮、飛び出す眼球をスローモーションで描くという呆れた悪趣味も、妙に美的に見えるから不思議だ。普通の2D映画だが、心理的には3D映画です。心で観る3D方式。

■ミイラ取りがミイラという古典的な枠組みが綺麗に決まって、スラッシャーと活劇が奇妙な融合を果たしている。日本で撮っていた映画より、バランスが取れている。

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