ザ・ウォード 監禁病棟 ★★★☆

JOHN CARPENTER'S THE WARD
2011 スコープサイズ 89分
銀座シネパトス1

ジョン・カーペンターの実に10年ぶりの新作映画。カーペンターお得意の活劇魂が、意外な方向に転がってゆく様がスリリングで、痛快な小品佳作。

■ゆえなく投げ込まれた監禁病棟からの脱出活劇が近年のカーペンターらしい活劇スタイルで描かれ、次々と消えてゆく患者たちのホラーテイストよりも、ヒロイン、アンバー・ハードの男らしい不屈の闘志が魅力的。現れた女の亡霊と素手で組み合うという、何のジャンルだか既に不明な映画空間に足を踏み入れるあたりの割り切り方が素敵。

■予備知識はほとんど無しで観たので、クライマックスのツイストにも素直に乗れた。ラストショットも、あれ意外に無いという脚本の構築も優れている。後で思い返せば、ジェームズ・マンゴールドの映画のアイディアにそっくりだが、映画のエモーションとしてはこちらの方が上手だ。監禁病棟からの脱出という活劇の構図に流し込んだ脚本が優れているのだろう。美しいオープニングで、ちゃんと伏線を張っているのも、当然ながら偉い。

■銀座シネパトスには初めて行ったが、東京のど真ん中にまだこんな異空間が残っていたとは、と感心する情緒あふれる映画館。もとはポルノ映画館だったそうだが、道路と地下鉄に挟まれた地下に映画館があるなんて、素敵すぎる。それこそ映画のロケに最適な異空間ではないか。

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