マスターズ・オブ・ホラー「魔女の棲む館」 ★★★

■あまりいい評判は聞いていなかったのだが、スチュアート・ゴードンは侮れないよ。ちゃんとゴードン印の擬古典主義的なオーソドックスな怪奇映画になっている。原作はラブクラフトの「魔女の家の夢」。脚本は盟友デニス・パオりなので、最後までちゃんと観れば、ちゃんと恐怖のカタルシスを味わわせてくれる。
■魔女が次元の交点を通って移動するというあたりが疑似科学的な趣向なのだが、主人公の大学院生が魔女に操られて隣の部屋の赤ん坊を生贄にしようとしていることが明らかになってくるサスペンスと、その後の精神病院での悲劇的な幕切れがセットになって、非常に綺麗な様式美を生み出している。精神病院での残酷な結末は、まさに怪奇映画好きの溜飲を下げる見事な幕切れで、エロとグロと笑いを綯い交ぜにしながら、最期はちゃんと恐怖で締めてくれる見事な演出である。
■魔女とか、人面鼠といった古臭い道具立てに幻滅せず、ちゃんと見れば確実に納得できる正統派怪奇映画である。スチュアート・ゴードンは信頼に値する男だ。

© 1998-2024 まり☆こうじ