遺恨あり 明治十三年 最後の仇討 ★★★

■原作・吉村昭、脚本・後藤法子源孝志、撮影・朝倉義人、美術・松宮敏之、照明・沢田敏夫、音楽・溝口肇、監督・源孝志
■悪くない素材と着想のラスト・サムライものなのだが、展開とテンポが緩い。いや、お話の展開は早いのだが、演技がノロいのだ。もっと緩急つけるべきだ。さらに救いがたいのは、藤原竜也松下奈緒の顔だ。藤原竜也は才能はあるのだが、ほんとに顔がだめ。映画的でない。さらに加えて、松下奈緒は演技も拙いが、顔がだめ。顔の作りが、映画(テレビ)向きではない。普通にピアノ弾いていれば美形で色っぽいのに、女優は絶対向いていない。顔の構造と心理描写とか表情との間に大きな齟齬があるのだ。別に松下奈緒を貶すつもりは微塵もないが、根本的に映画に向かない人が映画に迷い込んでくると本人も周囲も観客も困るので敢えて苦言を呈しておく。
■それにしても、日本人はほとんどが農民や町人だったのに、なんでこれほど武士道話が好きなのか、理解に苦しむ。まあ、希少種だから珍重されたという訳でもあろうが、もう少し普通の人々の中にドラマを見出す時代劇が制作されるべきだ。藤沢周平だって、武士の出てこない短編の傑作をたくさん書いているのに、どうして映画化されないのか、謎だ。

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