遠き落日 ★★★

遠き落日
1992 ヴィスタサイズ 119分
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原作■新藤兼人渡辺淳一 脚本■新藤兼人
撮影■飯村雅彦 照明■梅谷茂
美術■横尾嘉良 音楽■林哲司
マットペインティング■三瓶一信 マットペインター■木村俊幸 合成・タイトル■マリンポスト
監督■神山征二郎

野口英世の一生を母親の視点から描いたザ・国民映画。しかし、新藤兼人の視点は意地悪く、野口英世三上博史)の成功の背後に、母親(三田佳子)の献身や、地元篤志家たちの金銭的支援があることを強調する。英世本人においては、自分から借金を申し込んでおいて返そうとしないし、上昇するためには小ズルい手段も辞さない人間として描かれる。実際、借金の天才と呼ばれていたらしい。そのおかげで人類は細菌学の発展という果実を得ることができたわけだが、一将成って、その背後に死屍累々という現実世界のリアリティを感じさせるところが大人の映画だなあ。

アメリカから里帰りた英世に馬渕晴子がお前に金を貸したおかげで家が傾いたと責める場面なども、神山征二郎らしく引いたフルショットで描かれ、英世のリアクションの表情は大きく見せない。また、ほとんど何の役にも立たない父親(河原崎長一郎)が三田佳子の死後もちゃんと生きているのが、まあ史実とはいえ、一筋縄ではいかない現実のリアリティを感じさせる。東映映画なら、こうした人物にももっとスポットが当たっていたかもしれないところだ。

■作画合成を東宝の三瓶一信が担当しているのが意外。当時マリンポストに所属していたのだろうか。

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