プライド ★★★

■原作・一条ゆかり、脚本・大石静、音楽・佐橋俊彦、演出・寺崎秀臣

金子修介が「サンダ対ガイラ」をイメージしながら映画化したことで有名な、というか、満島ひかりの怪演で強烈な印象を残した映画の原作漫画を、東宝がシアタークリエで舞台化したもの。笹本玲奈新妻聖子という若手ミュージカル女優が競演する話題作だ。

■正直なところ寺崎秀臣の演出は、少々スローペースにすぎるのではないかと思うのだが、キモになる見せ場はちゃんと盛り上がる。笹本玲奈新妻聖子という実力派の歌唱の見せ場は圧巻で、二幕目の新妻による”ふるさと”の独唱は特に素晴らしく、背筋がぞっとするほどのパフォーマンスだ。

新妻聖子が上手いことはよく認識していたのだが、実質主演の笹本玲奈の巧さと貫録には感心した。小柄で華奢な新妻に比べて、背も高くがっしりした骨格の笹本玲奈のゆったりと包み込むような存在感が素晴らしく、ラストの抱擁を説得力をもって見せる。このあたりの配役の計算は悪くない。今回、新妻聖子笹本玲奈の引き立て役なのだ。

■欠点は、オリジナル楽曲の若干の弱さと、後半の難病展開の安易さにある。あと、最近よく見かける鈴木一真はちっともいいと思わないのだが、あれでいいのか。時々、棒立ちしているぞ。

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