■確か2009年の私的ベスト発表は見送った、あるいは単に忘れていたわけだが、久しぶりにベストを選出しようと思ったところ、あまりにもネタが無いので、ビックリした。昨年の日本映画は素人目にも相当低調で、近来稀な不作の年という印象だったが、振り返ると荒涼たるものですね。何にも無いよ。普通なら、秋口に良い映画が出てくるものだが、昨年はそういう現象がそもそも無かった。日本映画崩壊か?という実感があった年だった。興行的にはいいらしいのだが、質的な低下がものすごいことになっていないか?ちょっと気になるのは、「悪人」「川の底からこんにちは」「ヒーローショー」を観ていないこと。
■なので、映画については、邦画と洋画を混ぜて記録しておく。本数が少なすぎるのだ。
- 「ヒックとドラゴン」 これはもう歴史に残る傑作。
- 「バッド・ルーテナント」 変な映画だけど、非常に面白い。本来ベストテンに顔を出すような映画じゃないが、妙に新鮮だった。人生観照的なコメディなのだ。
- 「最後の忠臣蔵」 ルックだけでない、時代劇の性根が描かれた本格的な時代劇。ルックは本格だが、作劇は変格。
- 「おとうと」 何故かキネ旬のベストテンには入っていないのだが、映画芸術のワーストには入っているという、世間的には微妙な評価。新左翼系の人には山田洋次は天敵らしい。私は積極評価する。
■しかし、困ったことに、昨年もっと面白かったのは、NHKの舞台中継なのだ。これはもう新作だけではないのだが、たとえば以下のような演劇は、最近の日本映画よりも、ずっと刺激的だし、ゴージャスだし、楽しいし、面白い。
■ハリウッド映画もメジャーどころがガタガタで、ウェルメイドな中規模作品が減って、日本にも入りにくくなっているようだし、日本映画も昨年の有様を見ると、かなり無残な状態になると考えざるを得ない。