ブッシュ ★★★

W.
2008 スコープサイズ 130分
DVD

ブッシュ [DVD]
■父ブッシュとの確執を中心にジョージ・ブッシュの人生を面白おかしく綴ったオリバー・ストーンの良作。イラク戦争に突入する前後の政府中枢の議論とブッシュ家のダメ嫡男ジョージ・ブッシュがさまざまな職業を転々としながら神の啓示を受けて大統領選に出馬するまでの姿を並行して描いてゆく興味深い物語で、なにしろ素材の面白さが半端でないので、そりゃ面白いわけですよ。
■決して才能に恵まれたとは言い難い若きジョージ・ブッシュの苦悩の半生の部分が特に興味深く、観客がついつい感情移入してしまうようにうまく作られている。イラク戦争の真の狙いをリチャード・ドレイファス演じるチェイニー副大統領がまくし立てる場面など、痛快で傑作な見せ場だ。フセイン打倒がジョージ・ブッシュの父親超えというドラマであったという見立ては、単純すぎる気がするが、映画的には確かに正解だろう。日本映画でもこうした映画がぜひ欲しいところだ。小泉内閣とかホリエモン逮捕とか、映画のネタはいくらでも転がっているというのに。
■ただ、ラストのエピソードについては、少々食い足りない感じで、さすがに尻切れトンボという印象なので、大分損をしている。ジョージ・ブッシュの人間としての愛すべき愚かさと、そんな男にけん引される米国の悲劇を再確認したところで終わればいいのに。

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