藤見町アパートメント「リバウンド」「魔女の夜」「海へ」 ★★★

藤見町アパートメント「リバウンド」「魔女の夜」「海へ」 
2010年 自転車キンクリートSTORE 座・高円寺
NHK教育 劇場への招待
NHK BS2 ミッドナイトステージ館
作■鄭義信、蓬莱竜太、赤堀雅秋 美術■奥村泰彦 照明■中川隆一 演出■鈴木裕美
出演■平田敦子池谷のぶえ、星野園美、山口紗弥加明星真由美井之上隆志入江雅人、清水 宏 、遠藤留奈、久保酎吉

■「リバウンド」はなんといってもオデブな三人組のインパクトが強烈。そういえば、鄭義信は代表作「焼肉ドラゴン」でも貫禄ある韓国の女優を使って類稀な人物像を生み出して見せたのだが、恰幅の良い女性によほど思い入れがあるらしい。そういえば、わしらの幼い頃には京塚昌子がお茶の間の人気者だったわけだが、何か関係があるのかな?3人組のコーラスグループの、バブル時代の全盛期と侘しい今の姿を対比して、この20年間の日本社会の変化を浮かび上がらせようとするものだが、作劇よりも主演3人のアンサンブルの妙味が面白みの中心だろう。音楽劇としての側面もあり、コーラスそのものはさすがに今ひとつの部分もあるが、やはり愉しいわ。
■「海へ」は赤堀雅秋の作だが、よくNHKで放送できたなと感心するほどくだらない。登場人物たちのくだらな過ぎる一夜のやりとりが、不思議な楽しさと脱力とを呼び起こす。なんせ、「海へ」のタイトルの意味が判明するラストでは、あまりのくだらなさに口あんぐり状態だ。一応主演は井之上隆志だが、むしろ脇で跳ね回る清水宏の熱演が強烈な印象を残す。この「藤見町アパートメント」は4つの物語から成り立っており、マキノノゾミの「ポン助先生」が未見なのだが、3作のうちでは「海へ」が一番面白い。

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