■低予算のSFサスペンスという触れ込みだが、日本映画のスケール感で考えると超大作クラスの作り込りこみだ。月面作業基地の室内だけで展開するのかと思いきや、月面での採取作業をイギリス映画伝統の、「サンダーバード」テイストのミニチュアワークでしっかりと描き出すので、安心して観ていられる。しかも、特撮シーンはかなり長く、しかも非常にリアルなので、特撮好きは絶対に見逃せない。
■お話については何も触れないほうが、これから観る方には親切なので何も言いませんが、結構よくできた脚本。所々に無理はあると思うが、かなりトリッキーなお話で、真面目なSF映画なので、悪い気はしない。ただ、もう少し華が欲しい気はするし、最近の娯楽映画には付き物の、生理的に見苦しい表現も、やっぱりあって、宇宙を舞台にした娯楽映画なのだから、もっと夢見心地にさせてくれればいいのに、と残念に思うのだ。