きみの友だち  ★★★★

きみの友だち [DVD]
きみの友だち
2008 ヴィスタサイズ 125分
BSjapan録画
原作■松重清 脚本■斉藤ひろし
撮影■芦澤明子 照明■豊見山明長
美術■山下修侍 
監督■廣木隆一

■青春映画の瑞々しい傑作。廣木隆一が目指したのは、相米慎二ではなく、木下惠介ではないか。緩やかに移動する長廻しのフルショットの中で、役者の演技だけでは描ききれない劇的な時間と空間が現出する。木下惠介を連想するのは、デジタルビデオキャメラで捉えられた山梨ロケの情景が、木下映画独特の、遠景に広がる鮮明な山並み、空にくっきりと浮かぶ雲、といった映像的モチーフを見事に再現しているからだ。”モコモコ雲”というモチーフも、「遠い雲」とか「夕やけ雲」といった映画を撮った木下惠介に通じるものを感じさせる。

■提示されるエピソードはおそらく全て原作小説から抜粋されたものだろうが、個々のエピソードも非常に素晴らしい。ラストで主人公の親友が死ぬ場面は、映画のターゲットとする女子中高生向けに泣きしろを多くとった、廣木隆一にしては珍しいベタな演出だが、それ以外は実に立派。柄本明の次男柄本時生が演じる中学3年生を巡る駄目少年のエピソードなど、静かに泣かせる。これまで廣木隆一の演出には乗れないところがあったのだが、本作は真性の傑作だ。

■製作は、WOWOWポニーキャニオンビターズエンドほか、制作はツインズジャパン(?)



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