ガス人間第一号
2009年 シアタークリエ
ＮＨＫ教育 劇場への招待
原作映画脚本■木村武 脚色■後藤ひろひと 美術■池田ともゆき 照明■黒尾芳昭 音楽■中村中 演出■後藤ひろひと
出演■伊原剛志、高橋一生、中村中、中山エミリ、三谷昇、山里亮太、後藤ひろひと、渡邉紘平、水野透、悠木千帆、水野久美
■東京まで観にいくこともままならず、ひょっとしたら特撮好きのＮＨＫで放映されるのでは？と淡い期待を抱いていたのだが、まさにドンピシャ。遂にＮＨＫ教育で放映された。
■舞台版の物語は原作映画に忠実で、クライマックスの日本舞踊の公演は中村中のオリジナル曲「焼心者」のコンサートに翻案されている。このオリジナル曲が昭和歌謡を髣髴させる劇的な曲で、クライマックスを確実に盛り上げる。クライマックスの二人の最期とか、二人の不可思議で微妙な人間関係などはオリジナル映画の木村武（本名、馬淵薫）が独壇場といえる筆致で描いているのに比べると単純化されている気がするし、ガス人間というキャラクターの描きこみにしても映画版が勝るが、音楽劇としての翻案を見事に成功させた手際には感心した。中村中の女優としての存在感と、情念の燃え滾る歌唱には圧倒される。
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■ガス人間の存在について科学的な解説を加えるのが山里亮太で、徹底的に理系のヲタクを茶化している。が、実においしい役で、山ちゃんは役得。一方、週刊誌の編集長役で、何故かリットン調査団の水野透が登場し、相変わらずの芸風で小芝居を見せてくれる。個人的には懐かしいし、可笑しいのだが、東京の観客にはなんのことやら意味不明では？企画協力によしもとクリエイティブ・エージェンシーがクレジットされているのも、謎だ。
■水野久美は期待通りの重要な役で舞台を引き締めるし、登場するドイツ系の化粧品メーカーの名がリーセンドルフというあたりも、東宝特撮のエッセンス。舞台とクライマックスのコンサート会場が融合するクライマックスは、演劇ならではの醍醐味で、これは是非舞台で観たかった。是非是非、再演希望。東宝演劇の新しい古典として育てて欲しいものだ。
