豚と真珠湾 幻の八重山共和国 ★★★

豚と真珠湾 幻の八重山共和国
2007年 俳優座劇場
NHKBS2 ミッドナイトステージ館 演劇はいま 
作■斎藤憐 音楽■中村透 美術・演出■佐藤信
出演■大塚道子、中野誠也

斎藤憐といえば、その昔岸田森とか草野大悟自由劇場を立ち上げた歴史上の人物だが、現在も現役で活躍中なのだ。そう考えると、岸田森草野大悟も、あまりに早く現世を退場しすぎた。

■太平洋戦争終結時から朝鮮戦争までの時代、アメリカと日本の狭間で揺れ動く石垣島の人々の姿を社会派的に描き、あまり知られない立場の人たちの視点から日本(とその周辺)の戦後史を掘り起こしてくれるのは、貴重な試みで、2時間を超える長い芝居だが、飽きさせない。ただ、人物の描き方がかなり類型的で、ドラマとしての掘り下げは浅い。

■美術も佐藤信が兼任して、どう見ても低予算の美術装置を組んでいるが、ちょっとかわいそうな感じだ。大塚道子なんて、完全に役不足。この人はテレビドラマで複雑な屈託を抱えた女を演じると、底知れぬ怖さを演じられる女優なのだ。(続く)

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