斉藤幸子 ★★★

斉藤幸子
NHKBShi ハイビジョンステージ
2009年 パルコ劇場 
作■鈴木聡 演出■河原雅彦
出演■斉藤由貴粟根まこと千葉雅子明星真由美中山祐一朗、松村武、弘中麻紀、小林健一、鬼頭真也、伊藤正之、柳家喬太郎、きたろう

■140分以上ある長い芝居(インターミッションに柳家喬太郎もんじゃ焼き講座が入る)だが、脚本自体はあまり上出来とは言えないだろう。着想も、筋の運びにしても、イメージ的には、関西だと松竹新喜劇吉本新喜劇を想起するわりには、軸が弱い。斉藤幸子を中心とする下町の小さいご近所関係の強固な紐帯を描いたものだが、どうもすっきりと腑に落ちない。
■役者では斉藤由貴がいささか場違いな雰囲気だし、粟根まこともあまりにもくどい。誰がどう見てももっとも秀逸なのはきたろうの肩の力の抜けたボケぐあいで、嫌味なく、下品にもならない絶妙なボケは舞台俳優としてのきたろうの不思議な存在感をよく表している。実質的な主役は、斉藤幸子よりも、その親父ではないかとも言える役どころを、こどものまま初老に至ったといった風情で、さらりと演じる。

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