義経千本桜 二段目 ★★★

国立文楽劇場開場25周年記念 義経千本桜 二段目
伏見稲荷の段、渡海屋・大物浦の段 
2009年 国立文楽劇場 NHKBShi
出演■吉田文雀、吉田玉女

■死んだはずの平知盛が尼崎大物浦で生きていて、義経一行に復讐戦を挑むが、またしても敗れて瀬戸内の海に没してゆく。この段は復讐劇の活劇的見せ場を、渡海屋の場の視点から描き出す点に面白みがあり、安徳天皇典侍の局が渡海屋の障子を開けて海戦の様子を眺め観る場面など、映画にピッタリの趣向だ。さらに、戦況悪化を見て取るや知盛討ち死にを早合点し、入水しようとする場面など、後の白虎隊の悲劇を思わせる。

■知盛出陣の場面など、日本の大衆演劇らしいケレンが愉しい。謡曲船弁慶が引用されているが、能も観ておかないといかんなあと思う今日この頃だ。

■日本映画は、こうした素材をCGアニメあるいはVFX文楽として映像化すべきだと思うぞ。文楽人形の味を生かして、人形の演技をデジタル合成で、CGやミニチュアで再現した舞台背景に嵌め込み、台詞や音楽を、今の時代に相応しいものに更新してやれば、新しい表現形式が誕生するはずだが。あるいは、フルCGによる時代劇の製作というのも、今後の新ジャンルの可能性を感じさせる。着物を着た人間をCGでどうアニメートするのかという技術的課題も、誰かが解決するだろう。というか、ゲーム映像では既にあるよね。
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