マリポーサの花 ★★☆

マリポーサの花
2008年 宝塚大劇場 宝塚歌劇団雪組 NHKBS2
作■正塚晴彦 演出■正塚晴彦 作曲・編曲■高橋城、玉麻尚一、太田 健、高橋 恵
出演■水夏希白羽ゆり彩吹真央凰稀かなめ

宝塚歌劇の定番、情熱的な南国と革命の夢を織り交ぜた出し物だが、雪組のメンツが正直パッとしないのと、宝塚専属作曲隊の楽曲に魅力が乏しいので、どうも残念な出来栄えといわざるをえない。元軍人が恋人を慕うあまり、その大学生の弟の軍事独裁政権に対する反体制運動を支援するはめに至るという物語で、腐女子を狂喜させる男同士の友情(愛情)あり、非常に技巧的な場面転換の妙ありで盛りだくさんではあるのだが、完成度は低い。
■とりあえず、宝塚歌劇は口ずさめるメロディのワンフレーズが無ければ失敗というのが、経験的に得た教訓だが、本作はまさにその点で失敗作である。物語及語り口としては結構ハードな革命と独裁に関する寓話でもあるのだが、ミュージカルなのに歌の使い方があまり上手くない。楽曲が冴えないせいもあるのだが、歌の場面にちっとも情感が乗らないのだ。ネロを愛しながら戦いに傷つくエスコバルの独唱は、ドラマ的にはもっともおいしい見せ場だが、特徴的なメロディの創出に失敗している。演じる彩吹真央も、う〜ん、どうだろうか。

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