座頭市関所破り ★★★

座頭市関所破り
1964 スコープサイズ 86分
KBS京都録画
脚本■浅井昭三郎
撮影■本多省三 照明■加藤博也
美術■加藤茂 音楽■小杉太一郎
監督■安田公義

■脚本が企画も兼ねる大映撮影所の浅井昭三郎なので、素人目にも相当ねじくれた不出来なものなのだが、座頭市の超絶技のアイディアと演出については秀逸なものがある。安田公義もカッティングの技巧に得意を発揮し、外さない。賭場でサイコロを真っ二つにする場面のカット割り、勝新の体技、ともに名人芸の域だ。コマ送りで見ると、その凄さに唸ることになる。回転する独楽が真っ二つになるカットも、完全に特撮の域で、職人技に驚嘆する。

■本作のもうひとつの見せ場は、座頭市が自分の父親かと疑う儀十というのんだくれの爺さんの登場だが、伊井友三郎という新派のベテランが演じている。正直、あまり映画好きにも馴染みの無い役者だが、渋い発声と映画映えする顔立ちで、さすがの貫禄を見せる。もっと映画の脇役として活動していても不思議ではない役者だが、その後あまり映画には出演していないようだ。

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