母なる証明 ★★★

MOTHER
2009 スコープサイズ 129分
京都シネマ

母なる証明 (幻冬舎文庫)
■女子高生殺人事件の容疑者として逮捕された頭の弱い息子の無罪を信じた母親は、独自に真犯人追及に乗り出し、殺された女子高生の携帯電話に秘密が隠されていると突き止めるが・・・
ポン・ジュノの監督作なので、単純な感動モノにはならないし、お涙頂戴にもならない。どちらかといえば、バイオレンス映画に近いだろう。冒頭から長廻しで母親が謎のダンスを踊るシーンが提示され、なんとなく凄いものが始まる予感は高まるのだが、結果的には今ひとつ突き抜けないまま終わった印象だ。
■事件の顛末にはそれなりに秘密が隠されており、息子を溺愛する母親は狂気の暴走を演じることになるのだが、それがまとまった感動にまで昇華しないもどかしさが残る。「殺人の追憶」や「グエムル」で見せた天才ぶりは、ここでは感じられない。
■多分、リアリティの審級で考えれば、韓国の僻村における人間関係や、知的障害に対する考え方などの特殊性を勘案する必要があり、日本人が奇妙な捩れと感じる部分が、韓国内では違う受け止め方をされている可能性がある。まあ、母の情愛の深さと、裏腹の妄信の愚かさとまとめてみれば、一般化し過ぎになってしまうのだが。
■とにかく、普通に考えれば、普通の母親が切羽詰って狂気に走るというのがドラマなのだが、ここでは最初からかなりイっちゃってる母親なので、その後の変貌に劇的メリハリが効かないという、単純なミスを犯しているのだ。今回の惜しい失敗の根っこはそこにある。