私の中のあなた ★★★☆

MY SISTER'S KEEPER
2009 スコープサイズ 110分
ユナイテッドシネマ大津(SC6)

映画「私の中のあなた」オリジナル・サウンドトラック
白血病の姉の治療用の体のスペアを得るために人工授精で誕生した妹は、自分の体を姉に提供することを拒否するため、家族を訴えるが・・・
■最近邦画でブーム(?)の余命もの難病映画だが、こちらはかなり本気で、単なるお涙頂戴映画にならないように、演出に抑制がきいている。とはいえ、白血病の病状や治療の副作用などについてもある程度リアルに描いてゆくので、観ていて辛い部分が少なくない。個人的には、できればあまり観たくない部類の映画だ。食欲が失せ、軽く鬱になるからだ。
■しかし、監督のニック・カサヴェテスは、そんなことをよく承知して、映像表現や楽曲をガーリーでポップなデザインで統一しており、お涙頂戴な見せ場は控えめだが、クライマックスには見事に涙で締めくくっており、実によく出来た劇映画である。
キャメロン・ディアスがどんなことをしてでも長女を延命しようとする、いかにもアメリカンな、生命に関する人間のエゴの権化のような母親を熱演しており、クライマックスに流す涙にはさすがにこちらも嗚咽しそうになる。過酷な運命を背負わされた娘は、人の生と死に関する悟りの深さで母親をとうに追い越していたのだ。いかにも劇的に作りすぎという趣向ではあるが、それこそ劇映画の醍醐味というものだろう。ここではキャメロン・ディアス的な考え方が人間(人類といってもいいかも)が自分の死を受け入れるという生来あったはずの能力を阻害していると訴えかけるのだ。その主張は至極真っ当で、日本人の死生観にとっては納得しやすいのだが、アメリカンにとってはまだまだ馴染みがないのだろうか。
■死に行くソフィア・ヴァジリーヴァは不憫すぎて正視できないほどだが、よく演じたと思うよ。地味ながら重要な父親役をジェイソン・パトリックが誠実に演じて、観ていて清々しい。家族でビーチに出かける場面など、抑えた存在感が素晴らしい。