ハンティング・パーティ ★★★☆

THE HUNTING PARTY
2007 スコープサイズ 103分
DVD

ハンティング・パーティ-CIAの陰謀- [DVD]
■2000年のサラエボ、カメラマンのダック(テレンス・ハワード)は、かつてコンビだったが生放送中の不祥事で首になった元記者サイモン(R・ギア)から、ボスニア紛争で大量虐殺を行い国際手配されている首謀者フォックスの居場所を突き止めたから独占取材しようと持ちかける。コネで入社した新人局員も同行して、3人の危険な道中が始まるが、途中で国連派遣の警官からCIAの工作員と間違われ・・・
■雑誌『Esquire』に掲載された、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の後日談をもとに劇映画化された半実録映画。映画の物語は非常に単純化されており、登場人物も絞り込まれている。その分脚本としては完成度が高く、しかも軽妙な語り口が心地よい。脚本は、監督のリチャード・シェパードが書き、何故か撮影はVFX大作が多いデヴィッド・タッターサルが担当している。決して大作ではなく、小規模作品だ。作風としては「ロード・オブ・ウォー」に似ている。
ボスニア紛争民族浄化の凄惨さは点描に止められ、主人公R・ギアの動機付けとして描かれる。暴力描写、残虐描写も基本的には控えめで、ドラマ重視の姿勢だ。本物のCIAが登場してからのクライマックスのひねりは痛快で、活劇映画としての構成も万全だ。主人公3人のハンティング・パーティ戦争犯罪人フォックスの狐狩りがうまく掛け合わされているあたりも、単純ながらも脚本の冴えを見せる。政治的メッセージや米国批判というよりも、劇中でニック・ノルティが大々的にフィーチャーされているように、アクション映画に対する批判的オマージュとして観るのが正解だろう。実際、かなり面白い。

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