コクーン歌舞伎「桜姫」 ★★☆

コクーン歌舞伎「桜姫」
ハイビジョンシアター NHK Hi
2009年 シアターコクーン
原作■四世鶴屋南北 演出■串田和美
出演■中村勘三郎中村橋之助中村七之助笹野高史片岡亀蔵坂東彌十郎中村扇雀

シアターコクーンの四方が客席に囲まれた空間で、様式的な舞台装置無しで演じられるコクーン歌舞伎だが、実際に舞台で観ると違うのかもしれないが、映像で見る限りあまり魅力的なスタイルにはなっていない。先日の「リチャード3世」が見事な様式性を獲得していたのに比べると、正統派歌舞伎との距離の置き方、工夫の仕方が足りないと思うし、単純にセンスが悪いのだと思う。
■役者としては、中村七之助の桜姫が単純に妖艶で美しいし、中村橋之助の上手さが際立っている。本来主役の清玄を演じる中村勘三郎は、両者の引き立て役に徹しているように見えた。ラストにオペラのアリア(マスネの歌劇「ウェルテル」のアリア「春風よ、なぜ私をめざめさせるのか」だそうな) が流れるのは、近年時代劇にはオペラという風潮に沿ったものだろうか。実際、よく合うのだが。

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