インスタント沼
2009 ヴィスタサイズ 120分
京都シネマ(SC3)
原案■三木聡 脚本■三木聡
撮影■木村信也 照明■金子康博
美術■磯見俊裕 音楽■坂口修
VFXスーパーバイザー■松木靖明(アイデンティファイ)
監督■三木聡
■ジリ貧のOLに次々と不運が降りかかるが、自分の出生にまつわる手紙を発見し、親類の骨董店のおやじと知りあい、奇妙な交流が生まれるが・・・
■オダギリジョー主演の「転々」が良かったので麻生久美子主演の本作も期待が高まるところだが、三木聡のことだから、軽々と肩透かしを食らわせてくれる。正直、「転々」に比べると少々劣る。基本的に、女子大生やOLあたりにターゲットを絞った、”人生応援ムービー”で、そこのところが食い足りない。麻生久美子のトンチンカンな(感じに見せる)熱演は、単純に観ていて楽しいし、ふせえりの助演も例によって弾けたコメディ演技を見せてくれるので、そこは満足なんだけどね。
■特に中盤、電球こと風間杜夫と相田翔子のエピソードのあたりが作劇としても弱く、不要な回り道に見えるのが、辛い。ただ、この映画は何故か堂々たる”妖怪映画”で、中洲プロも協力していたりするので、その手の好事家にはお奨め。松竹の(というかフジテレビの)「ゲゲゲの鬼太郎」などより、よっぽど正調の”妖怪映画”である。
■ソニーのシネアルタで撮影されており、発色はかなり自然だが、ごく僅かに階調が狭かったり、薄暗いところで肌色の発色が激しくくすんでいたりするカットがあるので、それと知れる。しかし、表現力としてはかなりのところまで洗練されてきた。まだフィルムの艶には及ばないが。