■もう、とうの昔(?)に最終回を迎えた「銭ゲバ」については、多分自殺した茜(木南晴夏)の愛に何らかの形で絆されて、改心して死んでゆくものと想像していたのだが、遂に世間に悪態をつき通して自爆して果てたところに、昨今のテレビドラマに対する批評性を感じさせてくれた。松山ケンイチの演技を含めてアッパレと言って差し支えない。1クールといいながら、たった9話しかなかったので、未消化の部分も少なくないが、最終回で誰の夢想ともわからない形で、ありえたかもしれないささやかな幸せを享受する主人公たちの姿を、銭ゲバの悪行の数々と対置してみせる脚本は、意欲的だった。銭ゲバが、死の瞬間、死にたくないと泣き叫びながら無様に死ぬ姿を夢想する緑(ミムラ)に対して、ラストのメッセージをストレートに突きつけた作劇は、近年なかなか無い清々しさを感じさせた。緑と銭ゲバを最後まで対決させた姿勢も賞賛に値する。いくらでもメロに持ち込める人間関係を、緊張感を競り上げて、テーマを浮き彫りにするために突き詰めたところに、スタッフの意志の強さがよく表れている。
■この4月からは、今川泰宏の「真マジンガー 衝撃!Z編」が始まるので、楽しみなような、心配なような気分だ。脚本も本人が書いているので、混乱が予想されるが、独特のケレンには惹かれる。
■テレビドラマは、連続ドラマが多分壊滅的なので、特別ドラマに淡い期待を残しておこう。というか、せめて笑えるテレビドラマを頼みますわ。